昨年大会のようす - Lastyear's Report
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床2年ぶりV 白井 新境地のH難度
 種目別で争う豊田国際体操競技大会(中日新聞社など主催)は12日、愛知県豊田市総合体育館(スカイホール豊田)で男子3種目、女子2種目を行い、男子床運動は世界選手権金メダルの白井健三(日体大)が15.700点をマークし、2年ぶり2度目の優勝を果たした。
 白井は冒頭、G難度のリ・ジョンソン(後方抱え込み2回宙返り3回ひねり)を伸身で行う新技を発表。両足がラインを越える減点はあったが、男子の床運動では現存しないH難度と認定され、Dスコア(演技価値点)は自己最高の7.7点だった。
 男子あん馬は世界選手権銅メダルの萱和磨(順大)、つり輪はロンドン五輪代表の山室光史(コナミスポーツ)が優勝。女子の跳馬はマリア・パセカ、段違い平行棒はダリア・スピリドノワといずれも世界選手権を制したロシア勢が優勝した。
「世界引っ張る」
 豊田国際は一年の締めくくりではなく、一年の始まりと白井は言いきる。リオデジャネイロ五輪へのラストスパートの起点としたこの日、床運動を新境地に導く技に挑んだ。
 「今までになくいい伸身のリ・ジョンソンができ、逆に着地が分からなくなった」。演技冒頭。力強い助走から踏み切り、162センチの体をやりのように伸ばして2回宙返り3回ひねりをこなした。「普通に降りたつもりが、そこにまだ床がなかった」。想定より飛距離が伸びてラインオーバーとなったが、跳躍そのものは美しい軌跡を描いた。
 昨年の豊田国際で、リ・ジョンソンを入れたDスコア7.6点の演技を国内初披露した。この1年で完璧に近づけ「これ以上7.6をやっても上を目指せない」。世界選手権のあった英グラスゴーから2年ぶりの金を持ち帰ってすぐ、次の一歩を踏み出した。
 大技を見つめ、ため息をついたのは内村航平(コナミスポーツ)。自身も高校時代に習得を目指しながら断念したという。「抱え込みでも難しいのに、体を伸ばすと回転力が落ちる。高さに加えて特別な感覚も必要」。感服したのは技術だけではない。「健三に一番の注目が集まる中で成功させたのがすごい」
 自分の名が付く技が増えることに白井は興味を示さない。ただ、前人未到の技を生み続ける責任は正面から受け止める。「床では自分が世界を引っ張っていく。名前はそのご褒美として付いてくる」。五輪で勝者になってこそ、名は語り継がれるものと捉える。
認定されれば「シライ3」 以前は膝を曲げていた
 白井が床運動で発表した伸身のリ・ジョンソンが国際体操連盟(FIG)の技術委員会で認定されれば「シライ3」と命名される見通しとなった。日本体操協会によると、来年2月の同委員会で、男子で最高のH難度に相当する新技と認めるか議論されるという。
 今年の豊田国際では白井を含め、3選手が伸身のリ・ジョンソンを新技として申請。白井は成功したが1人の選手は着地に失敗し、もう1人は実施しなかった。FIGの冨田洋之技術委員が白井の映像を委員会に持ち込む予定。豊田国際はFIGの認定大会だが、主管の大会ではなく、新技に名前が付くかどうかは委員会の判断に委ねられるという。
 白井はこれまで、床運動で「シライ/ニュエン(後方伸身宙返り4回ひねり)」と「シライ2(前方伸身宙返り3回ひねり)」、跳馬で「シライ/キムヒフン(伸身ユルチェンコ3回ひねり)」が新技として認められている。


床運動で白井健三が決めた新技「後方伸身2回宙返り3回ひねり」の連続合成写真(左から右へ)=豊田市総合体育館で
あん馬優勝 萱 攻めの新構成
 世界のメダルを手にしても、立ち止まってはいられない。あん馬に出場した萱は、3位に入った初出場の世界選手権から、さらにDスコアを上げた構成で優勝を果たした。
 初めて代表入りし、世界選手権団体総合の金メダルにも貢献。躍進のシーズンを過ごす大学1年生は床運動で新技に挑んだ白井と同学年。「僕も無難に優勝を狙うのでなく、攻めよう」と心に火が付いた。
 倒立して旋回するG難度の「ブスナリ」も、難度を上げた中盤の技も、終始スピードに乗った。着地すると両こぶしを握り、一礼してまた両手を突き上げた。「来年に向けてまず第一歩が踏めたかな」。心がはやる五輪イヤーへ、納得の演技に言葉も弾んだ。
 世界選手権の団体は、予選で全6種目に出場したが、決勝はあん馬のみだった。得意種目で今まで以上の存在感を示した伸び盛りの19歳。「五輪では全種目で起用されるくらい実力をつけたい」と目標を掲げた。


あん馬で優勝した萱和磨の演技=豊田市総合体育館で
女子はロシア勢がV
 女子の跳馬はパセカ、段違い平行棒はスピリドノワとともにロシア勢が制した。日本製の器具が「地元で使う欧州仕様と違いやりにくかった」と声をそろえた。パセカは「百パーセントの力は出せなかった」と明かしただけに、ロシアの実力の高さが際立った。
 日本勢は跳馬で村上茉愛(日体大)、段違い平行棒で寺本明日香(京大)がともに2位。世界一の力を目の当たりにし、寺本は「練習の倒立から、全部がとてもきれい」。村上も「技を簡単そうにやるすごさ。学ばないといけない」と刺激を受けていた。
■中日新聞(2015年12月13日朝刊)


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